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2010年度バナー

環境イノベーターシンポジウム2010

気候変動緩和及び適応に関する高等教育プログラムと活動内容

東京では第一回目となる環境イノベーターシンポジウムが、慶応大学の三田キャンパスにて開催された。シンポジウムは、発表されたプレゼンテーションの内容、そしてプレゼンターと参加者間で展開された議論ややり取りの両側面共に、成功を収めて終了した。

2010年12月17日と18日の2日に渡り、シンポジウムには200人近くの参加者が集まり、気候変動の緩和及び適応についての国際的な取組みの中で、高等教育の役割は何であるかを議論した。シンポジウムの目的は多分野からの多種多様な参加者を集結させることであり、その点においては今回のシンポジウムは大成功であったと言える。参加者は政府機関からの代表者、環境関連指導者、政策立案者、気象学者、建築家、都市プランナー、環境起業家、学生など、現在アジアやアフリカ諸国において活動をしている人々が含まれた。

2日間の議論の中では、以下のようないくつかの問題が提起された:

  1. 発展途上国の学生を教育する中で、いわゆる「先進国の知識」の役割は何であるか?
  2. 気候変動について学生を教育する際、実践的に経験することから得られる利益は何であるか?
  3. 地方規模と国際規模の活動間の適切なバランスはどのようなものか?

これらの疑問点への回答は未だ定義が難しいままであるが、議論された内容は今後の更なる調査に役立つスタート地点になり得る。参加者の出身国の多くは大きな経済的・社会的ギャップによって国が分離しており、そのような背景を持つ参加者たちの異なる視点や、彼らが直面している様々な問題に対する認識の高まりを目にするのは特に興味深いものであった。

シンポジウムは両日共に、それぞれ独特の空気が流れていた。
一日目のプレゼンテーションでは気候変動に関する広範囲のトピックに焦点が当てられた。教育者や実践者が、その複雑さや問題の規模を考慮しながら取り組む、様々なアプローチが浮き彫りにされた。
多くの専門家たちは、気候変動の緩和は世界規模の課題であり、問題が解明されるまでには相当の時間がかかるとの見解に至った。この件について、同じ場所にすべての関係者を集めることだけで、賛否両論が交わされた。一方気候変動の適応策については、地方レベルの課題であるため小さなグループでも比較的容易に取り組むことができるという見解に至った。そのため、今回のシンポジウムでのプレゼンテーションや議論の多くが、 現在適応策として適用されている技術、そして地域的に直面している問題などのトピックを中心に展開されたのは当然だったのかもしれない。 このような新しい傾向に対して大学などの教育機関がどのように対応していくかが、少なくとも近い将来における成功への指針となるであろう。それにはある一定の斬新な考えが必要となるかもしれない。シンポジウムで取扱われたトピックに基づき、既にその方向に動き出しているグループが、学界の中でも外でも見られつつある。シンポジウムで発表されたその新たな例の一つには、気候変動保険を農家の人々に提供するという保険会社の取り組みがあった。これは経済領域が、地上での気候変動に追いつき始めている、もしくはその予兆よりも先に動き出しているということを暗示している。

シンポジウム2日目では、特にこの日が IKI(International Keio Institute for architecture urbanism)(http://iki-stage.blogspot.com/)の第一回会合を支援するために充てられたこともあり、環境デザインテーマにより焦点が当てられた。この日は、プリツカー賞を受賞した二組、槙文彦氏と妹島和世氏が参加してくれたことで、実に特別なイベントとなった(プリツカー賞は、オバマ大統領も建築界のノーベル賞に匹敵すると発言したように、大変名誉のあるもの): http://blogs.suntimes.com/sweet/2011/06/obama_touts_chicago_architectu.html)。両者は世界的に活動している観点から、シンポジウムに非常にユニークな見解を加味してくれた。 この日は多数のワークショップを中心に編成され、たくさんの活気ある議論の場がもたれた。おそらく集まったグループの多様性が相まって、論点は常に地域に密着した内容や、国外で働く建築家やプランナーの適合性に集中した。

これに加えて、議論は社会的変化やエネルギー使用削減に影響を与える手段としての、建築や都市計画の役割について展開された。また、柔軟性のある建築を築いていくためにはどのように建築家を教育していくかということも共通のテーマであった。この側面において、発表されたプロジェクトは説得力があり肯定的なものであった。しかし、中国などの急成長している経済状況の中での建設アプローチにおいて、このようなテーマはまだ主流にはなっていないことが明確となった。